モン族の布について
文字をもたないモン族の女性たちが願いを込めた刺繍モチーフ
目の醒めるように美しい、鮮やかで特徴的な刺繡たち。
これは、タイの少数山岳民族・モン族(Hmong *1)の女性の手仕事です。
彼女たちが施すモン族伝統の刺繡は、「花の布」を意味する「パンドゥ(Paj Ntaub)」と呼ばれます。その多彩なモチーフの1つ1つには、きちんと意味が込められているんです。
たとえば、「カタツムリ(家族の繋がりや成長)」「コイル(先祖と子孫)」「象の足(家族の富の象徴)」「八角の星(幸運、守り)」「四角の中のダイアモンド(強い幸運の跡)」……など(*2)。文字をもたないモン族の女性たちは、刺繡にそれぞれの願いを込めて、一針一針、丁寧に手刺していきます。
彼女たちが織り成す、たくさんのハッピーモチーフ。
実は───その裏には、「難民」としての歴史が潜んでいます。
迫害の歴史を生き延びてきた民族の祈り
モン族はもともと、中国南部の山岳地方で暮らす少数民族です。そんな彼らがタイで暮らすようになったのは、19世紀に入ってから。
漢民族による迫害を逃れて南下してきた彼らを待っていたのは、ミャンマーやラオスの政情不安でした。巻き込まれたモン族の一部の人たちが、タイへと亡命せざるを得なくなったのです。
難民となったモン族(*3)は未だ貧しい生活が続いています。そんなモン族の女性達が、外貨を得るための手段としているのがパンドゥです。迫害と争い歴史を生き抜いてきたモン族。その母から娘へと伝えられてきた刺繍には、家族の幸福を願う女性たちの祈りがぎゅっと込められています。
関わる人すべてがハッピーに。そんな願いを込めて……
aikyo.asiaでは、彼女たちの祈りが詰まったパンドゥで、素敵なトートバッグをつくりました。街中でもパッと目に飛び込んでくるビビットな刺繡には、まるで見る人すべてをハッピーするパワーが潜んでいるようです。
aikyo.asiaではモン族の人たちが運営するモン族市場で直接モン族からフェアトレード価格で布を購入しております。彼女たちのパンドゥが海を渡り私たちの日々のお気に入りになることを願っています。